大腸がん治療へのセレコキシブ追加はPIK3CA変異患者で有効:CALGB/SWOG 80702試験のサブグループ解析
Improved Survival With Adjuvant Cyclooxygenase 2 Inhibition in PIK3CA-Activated Stage III Colon Cancer: CALGB/SWOG 80702 (Alliance)
背景
CALGB/SWOG 80702試験は、ステージIII結腸がん患者(n=2,526)に対して、術後3年間のCOX-2阻害薬セレコキシブまたはプラセボ、および3ヵ月または6ヵ月のFOLFOX化学療法を割り付ける、2×2要因デザインによる第3相RCTであり、以前の報告では、セレコキシブ群でわずかに生存率が上昇する傾向がみられたものの、有意差を示すには至らなかった(https://doi.org/10.1001/jama.2021.2454)。
アメリカBrigham and Women's HospitalのNowakらは、PIK3CA変異の有無がCOX-2阻害への反応性を予測するという先行研究の示唆を確認するため、同試験における事前指定サブグループ解析を実施した。
結論
全ゲノムシーケンスのデータが利用可能であった1,197の腫瘍のうち、PIK3CA機能獲得型変異は259で検出された。
PIK3CA機能獲得型変異を有する患者では、セレコキシブにより無病生存率の改善が示された(調整ハザード比 0.56 vs. PIK3CA野生型患者0.89)。全生存率についてもPIK3CA機能獲得型変異患者でハザード比 0.44、野生型患者では0.94と、機能獲得型変異患者で有意に改善した。
評価
期待通り、PIK3CA変異を有する患者サブグループではセレコキシブによるアウトカムの改善が認められた。
大腸がん患者の10%から25%にみられる変異で恩恵は大きいが、まずは選択的使用を前向検証する必要がある。