TAVI施行CAD患者には術前PCIを行うべきか:NOTION-3
PCI in Patients Undergoing Transcatheter Aortic-Valve Implantation
背景
経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)を受ける安定冠動脈疾患(CAD)・重度大動脈弁狭窄症(AS)合併患者に対しては、術前PCIを行うべきか。
デンマークCopenhagen UniversityのLonborgら(NOTION-3)は、重度ASと少なくとも1つのCADがあり、FFR0.80以下または狭窄率90%以上で、TAVIを受ける患者455名を、術前PCI施行群と保存的治療群に割り付け、これを検証するRCTを行った。
一次エンドポイントは、主要有害心イベント(MACE:全死因死亡・心筋梗塞・緊急血行再建術の複合)である。さらに、出血イベントや手術合併症などの安全性を評価した。
結論
追跡期間中央値2年で、術前PCIの一次エンドポイント効果を認めた(HR 0.71)。出血イベントは、PCI群で28%、保存的治療群で20%に発生した(HR 1.51)。PCI群の3%で、PCI関連合併症が発生した。
評価
重要なテーマで、最近ではACTIVATION(https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jcin.2021.06.041)が行われているが、安定CAD患者で術前PCIが薬物療法単独より優るという結果は出ていなかった。ここでの結論は画期的で、NOTION-3参加者がより重篤であったことが一要因かもしれない。術前PCIの標準化を大きく後押しする結果だが、慎重意見は未だ根強い。