遠隔ICUは患者の滞在期間・アウトカムに影響しない:TELESCOPE試験
Effect of Tele-ICU on Clinical Outcomes of Critically Ill Patients: The TELESCOPE Randomized Clinical Trial
背景
集中治療分野の慢性的な人手不足に対する改善策の一つとして、遠隔集中治療(tele-ICU)が世界的に提唱されており、日本でも働き方改革への対応の一環として体制整備が推進されている。
ブラジルHospital Israelita Albert EinsteinのPereiraらは、同国の、認定を受けた集中治療専門医による多職種回診がルーチン的に実施可能でないICU施設30ヵ所で、認定専門医が主導する遠隔による多職種回診および監査・フィードバックミーティングからなる介入が、参加ICUに入室した成人の連続患者の滞在日数を短縮するかを検証するクラスターRCT、TELESCOPEを実施した。
結論
2019年6月から2021年4月までの登録期間中に、17,024名の患者が入室した(うち1,794名はベースライン期間)。44.7%が女性で、SOFAスコアの中央値は6、45.5%が入室時に人工呼吸を受けていた。
ICU滞在日数は、遠隔ICU群で平均8.1日、通常ケア群で7.1日と差はなかった。
感度分析、事前設定されたサブグループ分析でも結果は同様であり、その他の二次アウトカム・探索的アウトカムでも有意な差は認められなかった。
評価
遠隔ICUを利用して多職種回診を実施しても、ICU滞在期間を含むアウトカムに有意な変化はもたらされなかった。
一般に、多職種回診アプローチは滞在期間の短縮や死亡率などの改善につながると考えられているが、遠隔による実施ではメリットが失われる可能性がある。