ALK変異肺がん一次治療でのロルラチニブ、半数超が5年後も増悪なし:CROWN試験
Lorlatinib Versus Crizotinib in Patients With Advanced ALK-Positive Non-Small Cell Lung Cancer: 5-Year Outcomes From the Phase III CROWN Study
背景
CROWN試験は、治療歴のない進行ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者(n=296)において、第三世代ALK阻害薬ロルラチニブと第一世代ALK阻害薬クリゾチニブを比較する第3相国際共同RCTであり、2020年には、ロルラチニブ群の12ヵ月無増悪生存率がクリゾチニブ群を大きく上回ることを報告している(http://doi.org/10.1056/NEJMoa2027187)。
オーストラリアPeter MacCallum Cancer CentreのSolomonらは、同試験における5年の追跡期間後の長期アウトカムを報告した。
結論
無増悪生存期間は、ロルラチニブ群で中央値未到達(追跡期間の中央値60.2ヵ月)、クリゾチニブ群で9.1ヵ月であった(ハザード比 0.19)。5年無増悪生存率はそれぞれ60%、8%であった。
頭蓋内増悪までの期間は、ロルラチニブ群で中央値未到達、クリゾチニブ群で16.4ヵ月であった(ハザード比 0.06)。
ロルラチニブ治療の終了後に採取された血中循環腫瘍DNAには、新たなALK耐性変異は検出されなかった。
評価
増悪リスク8割減、5年後にも6割が無増悪で生存という、驚異的な有効性を示した。
日本の肺癌診療ガイドラインは、5種のALK阻害薬のうちアレクチニブを筆頭においているが、本試験の長期結果を受けて、ロルラチニブの役割はより重要となるだろう。