S-ICDにリードレスペーシング機能を付与する無線通信型モジュラーシステム登場:MODULAR ATP
A Modular Communicative Leadless Pacing-Defibrillator System

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
May 2024
391
開始ページ
1402

背景

皮下植込み型除細動器(S-ICD)にペーシング機能(MPS)を付与する無線通信型モジラーシステム(mCRMTM)の安全性とパフォーマンスは。
オランダAmsterdam UniversityのKnopsら(MODULAR ATP)は、心室性不整脈による突然死のリスクがある患者293名にmCRMを植込み6ヵ月間追跡して、安全性とパフォーマンスを評価する前向国際共同単群試験を行った。
安全性エンドポイントは、リードレスペースメーカー関連の重大な合併症の非発生(達成目標 86%)、一次パフォーマンスエンドポイントは、ペースメーカーとS-ICD間の通信の成功(達成目標 88%)および、ペーシング閾値がパルス幅 0.4 msec、2.0 V以下であること(達成目標 80%)である。

結論

参加者の151名が6ヵ月の追跡期間を完了した。安全性エンドポイント達成患者の割合は97.5%であった。通信成功率は98.8%、ペーシング閾値が2.0 V以下であった患者は97.4%であった。抗頻拍ペーシングによって不整脈停止に成功した割合は61.3%、通信障害で抗頻拍ペーシングが実施されなかったエピソードはなかった。コホートの4.9%が死亡した。不整脈あるいは植込み手技関連の死亡はなかった。

評価

Boston Scientificの製品で、S-ICD最大のデメリットであるペーシング不能性を解消するイノベーションである。今回の報告は、安全性とデバイスパフォーマンスに関するもので、有効性エンドポイントは副次的であり、追跡も短期である。長期での有効性と安全性が確認されれば、ICDの新標準になりえる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)