自発呼吸トライアルの最適なスクリーニング頻度・手法は?:FAST試験
Frequency of Screening and Spontaneous Breathing Trial Techniques: A Randomized Clinical Trial
背景
人工呼吸器からの離脱の可否を判断する自発呼吸トライアル(SBT)では、人工呼吸器を外すTピース法、人工呼吸器を接続したままPS(圧支持)を用いる方法が最も一般的であるが、どちらがより良いのかは決着がついていない。
カナダUniversity of TorontoのBurnsらは、北米23ヵ所の集中治療室で、24時間以上の侵襲的人工呼吸を受け、自発呼吸が可能または人工呼吸器がトリガーした、FiO2≦ 70%またはPEEP≦ 12 cm H2Oの患者を、異なるSBTスクリーニング頻度(1日1回または少なくとも2回)と異なるSBT方法(Tピース法またはPS法)へと割り付け、抜管成功までの時間を比較する2×2要因デザインによるランダム化臨床試験、FAST試験を実施した(n=797)。
結論
スクリーニングの頻度(ハザード比 0.88)、SBTの方法(ハザード比 1.06)とも抜管成功までの期間に有意な影響を与えなかった。抜管成功までの期間(中央値)は、1日1回×PS群で2.0日、1日1回×Tピース群で3.1日、頻回×PS群で3.9日、頻回×Tピース群で2.9日であった。
ただし、両者には有意な交互作用があり、PS法かつ頻回スクリーニングを行った場合、1日1回の場合と比して抜管までの期間が延長した(ハザード比 0.70)。一方、1日1回のスクリーニングかつPS法を行った場合では、Tピース法と比して抜管までの期間を短縮しなかった(ハザード比 1.30, 非有意)。
評価
先行RCTでは、Subiraらの試験(http://doi.org/10.1001/jama.2019.7234)とTIP-EX試験(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2209041)で結果が分かれており、このFAST試験では、SBTスクリーニングの頻度・SBTの方法ともに有意な効果差を認めなかった。
ただ、数字の上では1日1回×PSで抜管が早い傾向があり、今後の試験での確認が期待される。