進展型小細胞肺がんでデュルバルマブ地固め療法が生存期間延長を示す:ADRIATIC試験
Durvalumab after Chemoradiotherapy in Limited-Stage Small-Cell Lung Cancer
背景
非小細胞肺がんの治療は過去十数年で大きく前進しており、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)でも免疫チェックポイント阻害薬の効果が示されているが、限局型小細胞肺がん(LS-SCLC)の薬物治療にはほとんど進展がなかった。
中国Jilin Cancer HospitalのChengら(ADRIATIC)は、標準的なプラチナベースの同時化学放射線療法後に進行を認めなかったLS-SCLC患者を、最大24ヵ月のデュルバルマブ、デュルバルマブ+トレメリムマブ、プラセボの投与(ダブルダミー)へと1:1:1で割り付け、全生存期間(OS)・無増悪生存期間(PFS)を比較する第3相多施設RCTを実施した。
なお、同試験は600名を登録した時点でプロトコルが改訂され、以降はデュルバルマブまたはプラセボの投与へ1:1で割り付けが行われており、本論文はこの2つの治験群について報告した。
結論
デュルバルマブ投与に264名、プラセボ投与に266名が登録された(ITT集団)。
OSはデュルバルマブ群で中央値55.9ヵ月、プラセボ群で33.4ヵ月(ハザード比 0.73)、PFSは各群16.6ヵ月、9.2ヵ月(ハザード比 0.76)と、いずれもデュルバルマブ群で有意に改善した。
最大グレードが3または4の有害事象発生率は、デュルバルマブ群で24.4%、プラセボ群で24.2%であり、デュルバルマブ群の16.4%、プラセボ群の10.6%が有害事象により治療を中止し、各群2.7%、1.9%が死亡した。
評価
化学放射線療法後の地固め療法としてデュルバルマブを用いることで、OS・PFSとも大きく延長した。
LS-SCLCでの免疫療法の有効性を初めて示した試験であり、新しい標準治療となるだろう。