低社会経済ステータスとMACEを繋ぐ生体ストレス反応
Stress-Associated Neurobiological Pathway Linking Socioeconomic Disparities to Cardiovascular Disease
背景
低社会経済ステータス(SES)はMACEリスク因子だが、そのメカニズムは。Massachusetts General HospitalのTawakolらは、炎症反応をコントロールするストレス関連神経生物学的経路がその鍵であるという仮説を検証した。509名の参加者(心血管疾患・がんを除外)し、ベースラインでの造血能・動脈炎症を測定し、安静時扁桃体代謝(ストレス関連神経活動)をFDG-PET/CTで評価した。SESは居住地SES要因(家計収入・犯罪率)で階層化した。中央値4.0年のフォローアップでMACEを画像診断で評価した。
結論
ベースラインでの収入は、扁桃体活動(standardized β:−0.157)・動脈炎(β:−0.10)と逆相関した。多変数調整後、収入はMACE発症と関連していた(HR:0.67)。媒介分析では、低居住域収入レベルは扁桃体活動・造血能・動脈炎症・MACE発症と関連した(β:−0.01)。
評価
心血管疾患とストレスとの関連に関しては動物レベルデータが蓄積されており、SESと心血管疾患の関連は疫学的に決定的になっていた。患者でのこれらの間の関係に初めて生物学的ベースを提供した重要な発端研究である。