心停止での電極パッドは前後で貼り付けた方が良い?
Initial Defibrillator Pad Position and Outcomes for Shockable Out-of-Hospital Cardiac Arrest
背景
心房細動への電気的除細動では、電極パッドの位置がアウトカムに与える影響が検証されてきた。院外心停止では最近のDOSE-VF試験において、3回の除細動失敗後に、前胸部と背部に貼り付ける方法と前胸部と側胸部に貼り付ける方法が比較されているが、初期戦略として両者を比較した試験はない。
アメリカOregon Health and Science UniversityのLuptonらは、2019年から2023年に同地域の救急医療サービスで救急隊による除細動を受けた院外心停止・心室細動・無脈性心室頻拍の連続患者を対象とし、初回除細動におけるパッドの貼付位置がアウトカムに与える影響を検討する前向コホート研究を実施した(n=255)。
結論
初回のパッド貼付位置は、anterior-posterior法(前胸部と背部)が158名、anterior-lateral法(前胸部と側胸部)が97名であった。
AP法を受けた患者では自己心拍再開率が高かったものの(調整オッズ比 2.64)、救急到着時の脈拍の有無(1.34)、生存入院(1.41)、生存退院(1.55)、機能的良好な生存退院(1.86)には有意な差な認められなかった。
競合リスクを考慮した分析でも、at-Risk集団のうち、AP法を受けた患者で自己心拍再開の累積発生率が高いことが認められた(部分分布ハザード比 1.81)。
評価
院外心停止患者における初期のパッド貼付位置は高い自己心拍再開率と関連し、後続のアウトカムについても非有意ながら良好な傾向がみられた。
ランダム化比較試験による検証を正当化するデータとなる。