トリプルネガティブ乳がんへの周術期ペムブロリズマブ上乗せは生存率も改善:KEYNOTE-522試験
Overall Survival with Pembrolizumab in Early-Stage Triple-Negative Breast Cancer
背景
KEYNOTE-522試験は、ステージIIまたはIIIの未治療トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者での術前化学療法に追加してペムブロリズマブまたはプラセボ、さらに術後補助療法として同じくペムブロリズマブまたはプラセボを2:1で割り付けた第3相RCTである(n=1,174)。第一回中間解析では手術時点での病理学的完全奏効率について、その後の中間解析では無イベント生存率について(いずれも一次エンドポイント)、ペムブロリズマブ群の優位を報告している。
イギリスBarts Cancer InstituteのSchmidらは、同試験における全生存率についての最終結果を報告した。
結論
データカットオフ時点での追跡期間は中央値75.1ヵ月であった。推定60ヵ月生存率は、ペムブロリズマブ群で86.6%、プラセボ群では81.7%であった(イベント/死亡ハザード比 0.63)。
有害事象は、確立された安全プロフィルと一致していた。
評価
ペムブロリズマブによる術前・術後治療は、以前の結果を受けてトリプルネガティブ乳がん周術期での標準治療となっているが、生存率の改善も示されたことで、さらなる裏付けを与えた。
現在では、術前ペムブロリズマブでpCRとなった患者でのデ・エスカレーション(OptimICE-PCR試験, NCT05812807)や、pCRに至らなかった患者での治療強化などが検討されている。