筋層浸潤膀胱がんでの拡大リンパ節郭清は有害無益か:SWOG S1011試験
Standard or Extended Lymphadenectomy for Muscle-Invasive Bladder Cancer
背景
膀胱全摘除術では骨盤内リンパ節の郭清を追加することが推奨されているが、より広い範囲の郭清のベネフィットは明らかではない。
アメリカBaylor College of MedicineのLernerらは、臨床病期T2-T4aで陽性リンパ節が2個以下の転移がない筋層浸潤膀胱がん患者を、標準的なリンパ節郭清(両側内腸骨・外腸骨・閉鎖リンパ節)を行うグループ、または拡大リンパ節郭清(総腸骨リンパ節、坐骨前面リンパ節、仙骨前面リンパ節)を行うグループへと割り付け、無病生存率・その他のアウトカムを比較する第3相RCT、SWOG S1011を実施した(n=618)。
結論
ITT集団には592名が含まれた。57%の患者が術前化学療法を受けていた。
追跡期間の中央値6.1年時点で、拡大リンパ節郭清グループの45%、標準リンパ節郭清グループの42%に再発・死亡が生じた。5年無病生存率は各群56%、60%(ハザード比 1.10, 非有意)、5年生存率は59%、63%であった(ハザード比 1.13, 非有意)。
グレード3-5の有害事象は拡大リンパ節郭清グループの54%、標準リンパ節郭清グループ44%に発生し、術後90日以内の死亡は各群7%、2%に発生した。
評価
拡大リンパ節郭清は無病生存率を改善せず、有害事象・術後死亡を増加させた。
先行したLEA試験(https://doi.org/10.1016/j.eururo.2018.09.047)でも有意な差は認められておらず、これまで通りの領域での郭清が適切と思われる。