ACSへのDES-PCI後のDAPTは、段階的漸減からチカグレロル単独へ:メタアナリシス
De-escalation to ticagrelor monotherapy versus 12 months of dual antiplatelet therapy in patients with and without acute coronary syndromes: a systematic review and individual patient-level meta-analysis of randomised trials

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
September 2024
404
開始ページ
937

背景

急性冠症候群(ACS)に対するDES-PCI後の現標準は、二重抗血小板療法(DAPT)だが、その段階的漸減からのチカグレロル単剤使用への転換と、DAPT12ヵ月間継続を比較したデータが累積されている。
スイスEnte Ospedaliero CantonaleのValgimigliらは、DES-PCI患者において、短期DAPT(2週間~3カ月)後のチカグレロル単剤使用と12ヵ月のDAPT後のチカグレロル単剤使用の有効性および安全性を比較評価する、系統レビューと個別患者レベルメタアナリシスを実施した。

結論

DAPT後、中央値78日のチカグレロル単剤使用またはDAPT継続に患者を割り付けた6件の試験(GLASSY・SMART-CHOICE・TICO・TWILIGHT・T-PASS・ULTIMATE-DAPT)を同定し、24,000名以上の患者(平均年齢64歳、女性23%、ACS患者74%)のデータを解析した。
チカグレロル単剤使用は、DAPT継続使用と比較して、MACCEの発生率が低く(2.8% vs. 3.2%、HR 0.91)、BARC3または5の出血が減少し(0.9% vs. 2.1%、HR 0.43)、全死因死亡のリスクも低下した(0.9% vs. 1.2%、HR 0.76)。治療群間で脳卒中・ステント血栓症のリスクに差はなかった。
MACCE・全死亡とも、男性より女性にチカグレロル単剤使用の潜在的利点があり、また出血に関してはCCSと比較してACS患者に利点があった。

評価

この問題に関する一応決定的なメタアナリシスで、ステントPCI後のDAPTは、安全にチカグレロル単剤使用に漸減転換できる、と結論した。留意点は、安定冠症候群患者に関する結論でないこと、また重要な将来課題は、女性での利点が高いという示唆の確認である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)