頭蓋内動脈高度狭窄に対する積極的内科治療とバルーン血管形成術の併用:BASIS試験
Balloon Angioplasty vs Medical Management for Intracranial Artery Stenosis: The BASIS Randomized Clinical Trial
背景
症候性頭蓋内動脈硬化性狭窄症(sICAS)患者に対するバルーン血管形成術と積極的内科治療の併用は、積極的内科治療単独に優るか。
中国Beijing Tiantan HospitalのSunら(BASIS)は、同国31施設において、一過性脳虚血発作または虚血性脳卒中を最近発症したsICAS患者を対象に、バルーン血管形成術+積極的内科治療併用群と積極的内科治療単独群にランダムに割り付けるRCTを行った(n=501)。一次アウトカムは、登録後30日以内の脳卒中または死亡、または登録後30日〜12ヵ月以内に発生した虚血性脳卒中の複合である。
結論
バルーン血管形成術+積極的内科治療併用の一次アウトカム効果を認めた(4.4% vs. 13.5%、HR 0.32)。登録後30日以内の脳卒中または死亡の発生率は3.2%と1.6%で、適格動脈領域における虚血性脳卒中の発生率は0.4%と7.5%、登録後30〜12ヵ月以内の適格動脈の血行再建術施行は各1.2%と8.3%であった。併用群と単独群における症候性頭蓋内出血の発生率は、各1.2%と0.4%であった。バルーン血管形成術における処置合併症は患者の17.4%に発生し、動脈解離が患者の14.5%に発生した。
評価
血管形成の内科治療への上乗せの長期的有効性を示唆する結果だが、周術期の脳卒中・死亡リスクは高い。また、薬剤コーティングバルーンや薬剤溶出ステントとは比較されていない。世界的標準になるためには、さらなる検証が必要である。