学童期肥満へのリラグルチドの効果を確認:SCALE Kids
Liraglutide for Children 6 to <12 Years of Age with Obesity−A Randomized Trial
背景
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬リラグルチドは、12歳以上の思春期肥満患者の体重管理に有用であることが示唆されているが、より低年齢では。
アメリカUniversity of MinnesotaのFoxら(SCALE Kids)は、これを検証する第3a相RCTを行った(治療期間56週、追跡期間26週)。患者は6〜12歳の肥満小児82名で、1日1回のリラグルチド3.0 mg(または最大耐量)皮下投与とプラセボ+生活習慣介入に割り付けた。一次エンドポイントは、BMIの変化である。
結論
リラグルチドの一次エンドポイント効果を認めた(56週後のBMIの変化率の平均差、−7.4%ポイント)。体重の平均変化率は、リラグルチド群1.60%、プラセボ群で10%だった。リラグルチド群の46%とプラセボ群の9.0%でBMIが5.0%以上減少した。BMIが10%以上減少したのは、リラグルチド群35%、プラセボ群4.0%であった。
他の指標でも、ウエスト周囲変化を除き、リラグルチドが優った。有害事象発生率に群間差はなく、消化器系有害事象は、リラグルチド群80%、プラセボ群54%に発生した。重篤有害事象は、リラグルチド群の12%とプラセボ群の8.0%に発生した。
評価
プラセボと比較したBMI標準偏差スコアの治療差は−0.40であり、これは青年におけるリラグルチドとプラセボの使用を比較したSCALE Teens試験結果のほぼ2倍であある(https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa1916038)という。学童児肥満への同薬の効果を初めて確認したが、未だ試験規模は小さく、また投薬中止率も10%を超えている。肥満学童治療の新しいスタンダードが樹立された、とみるべきではない。