ビッグデータでCADリスク予測300遺伝子スコアを構築
Genetic Risk Score for Coronary Disease Identifies Predispositions to Cardiovascular and Noncardiovascular Diseases
背景
UK-Biobankのビッグデータは、冠動脈疾患(CAD)の遺伝子ベースリスク予測の可能性を開いている。イギリスQueen Mary UniversityのNtallaらは、同バンク登録425,196名のデータに基づき、300のCAD関連バリアントによる遺伝子リスクスコア(GRS)を構築した。
結論
高コレステロール血症(OR:1.27)・高血圧(OR:1.11)がCAD-GRSと強く関連し、同スコアの構成バリアントがこれらの素因を形成していることが示唆された。しかし、CAD-GRSによる予測は、伝統的CADリスクファクターのないCAD患者でも有意であった(OR:1.37)。PAD(OR:1.28)・腹部大動脈瘤(OR:1.28)・脳卒中(OR:1.08)と同スコアとの間にも関連があった。同スコアは、心不全・心房細動・早期死亡とも関連したが、これらとの関連は感度分析において消失し、二次的であることが示唆された。最後に、同スコアと偏頭痛の間に逆相関がみられた(OR:0.94)。
評価
遺伝子ベースリスクスコアにより、CADだけでなく様々な関連疾患スペクトラムのリスクも予測できることを示唆し、将来のCADリスク予測の姿を垣間見せた。偏頭痛との逆相関というような「謎」も見出しており、最終的とはみなされえない。