非心臓大手術前のRAS阻害薬、一時停止か継続か?:Stop-or-Not
Continuation vs Discontinuation of Renin-Angiotensin System Inhibitors Before Major Noncardiac Surgery: The Stop-or-Not Randomized Clinical Trial
背景
レニン-アンジオテンシン系阻害薬(RASI)使用中患者への非心臓大手術では、投薬を継続すべきか中止すべきか。
アメリカUniversity of CaliforniaのLegrandら(Stop-or-Not)は、フランス40施設において非心臓大手術を受ける患者2,222名を手術日の48時間前にRASIを中止する群と、手術当日までRASIの使用を継続する群に割り付ける多施設RCTを行った。
一次アウトカムは、手術後28日以内における主要術後合併症と全死亡率の複合である。
結論
両群とも参加者の22%に主要アウトカム イベントが発生し、両群間に差はなかった。術中低血圧は、中止群の41%、継続群の54%に発生し、リスク比は1.31であった。入院期間とICU滞在期間などの二次アウトカムも、両群で同様であった。
評価
RASI継続はカテコラミン不応性の低血圧発生の可能性があるが、中止も、術後高血圧・心不全・不整脈といった合併症の可能性があり、議論が続いていた。重要な実践問題に決着をつけるべく行われたRCTだが、差は出なかった。「個別化する」という結論となり、治療側の決定責任は重い。