非心臓大手術前のRAS阻害薬、一時停止か継続か?:Stop-or-Not
Continuation vs Discontinuation of Renin-Angiotensin System Inhibitors Before Major Noncardiac Surgery: The Stop-or-Not Randomized Clinical Trial

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
August 2024
332
開始ページ
970

背景

レニン-アンジオテンシン系阻害薬(RASI)使用中患者への非心臓大手術では、投薬を継続すべきか中止すべきか。
アメリカUniversity of CaliforniaのLegrandら(Stop-or-Not)は、フランス40施設において非心臓大手術を受ける患者2,222名を手術日の48時間前にRASIを中止する群と、手術当日までRASIの使用を継続する群に割り付ける多施設RCTを行った。
一次アウトカムは、手術後28日以内における主要術後合併症と全死亡率の複合である。

結論

両群とも参加者の22%に主要アウトカム イベントが発生し、両群間に差はなかった。術中低血圧は、中止群の41%、継続群の54%に発生し、リスク比は1.31であった。入院期間とICU滞在期間などの二次アウトカムも、両群で同様であった。

評価

RASI継続はカテコラミン不応性の低血圧発生の可能性があるが、中止も、術後高血圧・心不全・不整脈といった合併症の可能性があり、議論が続いていた。重要な実践問題に決着をつけるべく行われたRCTだが、差は出なかった。「個別化する」という結論となり、治療側の決定責任は重い。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)