重度低酸素血症に対する長期酸素療法は、一日15時間でよい:REDOX
Long-Term Oxygen Therapy for 24 or 15 Hours per Day in Severe Hypoxemia
背景
重度低酸素血症患者に対する長期酸素療法(LTOT:1日24時間吸入)は負担が大きく、1日15時間で良いのではないかという仮説がある。
スウェーデンBlekinge HospitalのEkstromら(REDOX)は、Swedish National Registry for Respiratory Failure(Swedevox)を使用し、同国20診療所で重度の慢性安静時低酸素血症に対してLTOTを開始する患者241名を、1日24時間または1日15時間のLTOTに割り付け、この仮説を検証した。
一次アウトカムは、1年以内の全原因入院または全死因死亡の複合である。
結論
1日15時間吸入の1日24時間に対する一次アウトカム非劣性を認めた。自己申告によるQOL・身体活動・症状・疲労でも両者に差異はなかった。
評価
1970年代に実施された2RCTに基づく治療法(https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/0003-4819-93-3-391、https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0140-6736(81)91970-X)だが、患者への負担に関わらず、大きなチャレンジを受けることなく踏襲されていた。
REDOXは、1970年代RCTより規模がやや大きく、患者の多くが高齢で、心血管疾患を有し、女性が多い。
常識を覆す結論を導いたが、未だ大規模試験とはいえず、主流仮説の交代、というべきである。