新規診断CMLでアシミニブが効果示す:ASC4FIRST試験
Asciminib in Newly Diagnosed Chronic Myeloid Leukemia

カテゴリー
がん、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
September 2024
391
開始ページ
885

背景

イマチニブの登場は慢性骨髄性白血病(CML)の予後を大きく改善したが、次世代のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が登場した今も、多くの患者は抵抗性や不耐性により、薬剤の切り替えを必要とする。
ドイツUniversitatsklinikum JenaのHochhausらは、新規診断CML患者に対し、アシミニブまたは主治医の選択したTKIによる治療を割り付け、分子遺伝学的大奏効・その他のアウトカムを比較する第3相多施設RCT、ASC4FIRST試験を実施した(n=405)。
登録においては、主治医選択TKI群におけるイマチニブと第二世代TKIの割合が概ね1:1になるよう調整された。

結論

48週時点で、アシミニブ群の67.7%、主治医選択TKI群の49.0%に分子遺伝学的大奏効が認められた(18.9パーセントポイント差)。イマチニブ層(TKI群に割り付けられた場合にはイマチニブが選択されることになるグループ)における分子遺伝学的大奏効は、アシミニブ群69.3%、イマチニブ群40.2%であったのに対し(29.6パーセントポイント)、第二世代TKI層ではアシミニブ群66.0%、イマチニブ群57.8%であった(8.2パーセントポイント, 非有意)。
グレード3以上の有害事象および試験治療の中止に至る事象の頻度は、アシミニブ群でそれぞれ38.0%、4.5%と、イマチニブ群(44.4%、11.1%)、第二世代TKI群(54.9%、9.8%)よりも低かった。

評価

ABLミリストイルポケットを標的としたBCR:ABL1阻害薬で、効果が高いだけでなく、オフターゲット毒性も小さいと目されている。
この第3相試験では、奏効・安全性についてイマチニブを上回り、第二世代TKIとの比較でも、(有意な差は示されなかったものの)数字の上では上回った。新規診断CMLにおける有力なオプションとなりうるもので、この結果を受けてFDAの優先審査に付されている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)