COPD急性増悪への高気道内圧NPPVは挿管リスクを減らすか?:HAPPEN試験
Effect of High-Intensity vs Low-Intensity Noninvasive Positive Pressure Ventilation on the Need for Endotracheal Intubation in Patients With an Acute Exacerbation of Chronic Obstructive Pulmonary Disease: The HAPPEN Randomized Clinical Trial
背景
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪では非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)の有効性が確認されているが、近年、COPDに対して、より高い気道内圧(high intensity)が高炭酸ガス血症の減少をもたらすという報告がなされている。
中国Capital Medical UniversityのLuoら(HAPPEN)は、6時間の低気道内圧NPPVにもかかわらず、PaCO2値が45 mmHg超のCOPD急性増悪患者を、吸気圧(IPAP)の調整により、一回換気量10-15 mL/kgの高気道内圧NPPVを受けるグループ、または6-10 mL/kgの低気道内圧NPPVを続けるグループへと割り付け、気管挿管の必要性について比較する多施設RCTを実施した。
結論
300名が登録された時点で行われた中間解析の結果、および新型コロナウイルスのパンデミックにより、試験は中途終了した。
入院中に気管挿管の必要性の基準を満たした患者の割合は、高気道内圧NPPV群で4.8%、低気道内圧NPPV群で13.7%と、高気道内圧NPPV群で有意に低下した。ただし、実際の気管挿管率は高気道内圧NPPV群で3.4%、低気道内圧NPPV群3.9%と差がなかった。
腹部膨満は、高気道内圧NPPV群で、より頻繁に発生した(37.4% vs. 25.5%)。
評価
一次アウトカムである、気管挿管の必要性の基準を満たした患者の割合は、高気道内圧群で有意に低下したものの、基準を満たした患者でクロスオーバーが認められていたため、実際の気管挿管率には差が生じなかった。
とはいえ、COPD急性増悪へのNPPVにおいて、気道内圧が重要であることを示唆する結果で、大規模な試験による確認が必要である。