ATTR-CMにsiRNA薬ブトリシラン:HELIOS-B
Vutrisiran in Patients with Transthyretin Amyloidosis with Cardiomyopathy
背景
トランスサイレチン(TTR)の生成を阻害するsiRNA薬製ブトリシラン(vutrisiran)のTTR型心アミロイドーシス(ATTR-CM)に対する有効性は。
イギリスUniversity College LondonのFontanaら(HELIOS-B)は、同患者655名を12週間毎・最大36ヵ月間のブトリシラン(25 mg)投与とプラセボに割り付け、これを検証するRCTを行った。一次エンドポイントは、全死因死亡と心血管イベントの再発の複合である。有効性エンドポイントは、全体集団および単剤療法集団(ベースラインでタファミジスを投与されていなかった患者)で評価された。
結論
ブトリシランはプラセボと比較して、一次エンドポイントを28%抑制し、機能的能力(6MWT 最小二乗平均差、26.5m)とQOL(KCCQ-OSスコア 最小二乗平均差、5.8ポイント)を維持した。
単剤療法集団でも同様の有効性が観察された。有害事象の発生率は両群同等で、重篤有害事象はブトリシラン群の62%とプラセボ群の67%に発生した。
評価
同薬はすでにHELIOS-A結果(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35875890/)により、ATTRvアミロイドーシスにおける多発神経障害の治療薬としてFDAに承認されている。このHELIOS-Aは、ATTR-CMへの効果・安全性を検証したもので、承認は確実である。現在、FDA承認されている唯一の薬剤であるトランスサイレチン安定剤タファミジス(Vyndamax)の有無で効果は変わらず、単独使用の可能性が示唆される。