MitraClipによるMTEERはFMR患者のアウトカムを改善するか:RESHAPE-HF2
Transcatheter Valve Repair in Heart Failure with Moderate to Severe Mitral Regurgitation
背景
経皮的僧帽弁修復術(MitraClip®によるMTEER)は中等〜重度の機能性僧帽弁閉鎖不全症(FMR)患者のアウトカムを改善するか。
ドイツUniversitatsmedizin BerlinのAnkerら(RESHAPE-HF2)は、9ヵ国30施設の中等〜重度のFMR患者505名をMitraClip群と薬物療法群に割り付けるRCTを行った。
一次エンドポイントは、24ヵ月時点の心血管死と心不全による初回または再発の入院率の複合アウトカム、24ヵ月時点の心不全による初回または再入院率、12ヵ月時点でのKCCQ-OSスコアの変化である。
結論
24ヵ月時点の心血管死、または心不全による初回または再発の入院率は、MitraClip群で100患者年あたり37.0件、対照群で58.9件であった(リスク比 0.64)。心不全による初回または再発の入院率は、MitraClip群で100患者年あたり26.9件、対照群で46.6件であった(リスク比 0.59)。
KCCQ-OSスコアの改善は、MitraClip群で平均21.6ポイント、対照群では8.0ポイントであった(平均差 10.9ポイント)。デバイス固有の安全性イベントは1.6%で発生した。
評価
MTEERの主要検証では、COAPTは、薬物療法と併用したMTEERが、薬物療法単独より全死因死亡率を低下させること(HR 0.62)を示したが(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1806640)、MITRA-FRは、この低下を示さなかった(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1805374)。
Abbott資金によるRESHAPE-HF2は、より軽症患者も含めたものだが、MTEERは全死因死亡率では薬物療法単独に優れなかった。全体的にはMTEERにポジティブな結果と言えるが、SGLT2iにより強化されつつあるGDMTに対して明確に優位かどうかは不明である。