二重連続体外式除細動(DSED)のショックの間隔は短い方が良い?
The impact of double sequential shock timing on outcomes during refractory out-of-hospital cardiac arrest
背景
二重連続体外式除細動(DSED: Double Sequential External Defibrillation)は、異なる位置にパッドを貼り付けた2組の除細動器で連続的にショックを与える手法で、DOSE VF試験において、難治性心室細動(VF)の生存率を高めることが実証されている(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2207304)。一方で、この有効性の根底にある機序は十分解明されているとは言えない。
カナダUniversity of TorontoのRahimiらは、2015〜2022年に1回以上のDSEDショックを受けた難治性VF院外心停止患者(n=106)の後向レビューを行い、DSEDにおける2度のショックの間隔が、VF停止・自己心拍再開・生存退院・神経学的良好ステータスに与える影響を評価した。
結論
106名で、計303回のDSEDショックが実施された(中央値2回)。うち69名は2018年に開始されたDOSE-VF試験に登録された患者であった。
2度のショックの間隔が75ミリ秒未満の場合と比較して、75〜125ミリ秒ではオッズ比0.39、125〜500ミリ秒では0.36、500ミリ秒超では0.27と、いずれもVF停止確率が低かった。また、ショックの間隔が75ミリ秒超の場合、自己心拍再開の確率も低くなった(オッズ比 0.37)。
ショックの間隔と生存退院、神経学的アウトカムとの関連は認められなかった。
評価
DOSE-VF試験の登録患者も含む後向解析から、DSEDにおける連続ショックの間隔は短い方が良い可能性を示唆した。
ただし、DSEDのベネフィットが証明されたDOSE-VF試験では、同時押し法ではなく、順次押し法(1秒以内)が採用された結果、ショック間隔が長くなっており、ショック間隔は、あくまでDSEDの結果を左右する因子の一つと考えるべきであろう。