トラスツズマブ デルクステカンがHER2陽性進行大腸がんに有望:DESTINY-CRC02
Trastuzumab deruxtecan in patients with HER2-positive advanced colorectal cancer (DESTINY-CRC02): primary results from a multicentre, randomised, phase 2 trial

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Lancet Oncology
年月
September 2024
25
開始ページ
1147

背景

抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカンはHER2陽性の乳がん、非小細胞肺がん、胃がんなどに効果を示しているが、HER2発現またはRAS野生型の転移を有する大腸がんでも有望と見られている。
アメリカUniversity of Texas MD Anderson Cancer CenterのRaghavら(DESTINY-CRC02)は、日本を含む世界10ヵ国53施設において、治療歴があり、HER2陽性の切除不能再発・転移大腸がん患者を対象に、21日ごとに5.4 mg/kg、または6.4 mg/kgのトラスツズマブ デルクステカン静注へと割り付け、用量ごとの客観的奏効率を評価する第2相RCTを実施した(n=122)。

結論

客観的奏効率は、5.4 mg/kg群で37.8%、6.4 mg/kg群で27.5%であった。
グレード3以上の薬剤関連の治療下発現有害事象としては、5.4 mg/kg群で好中球減少症・貧血・悪心・白血球減少症が、6.4 mg/kg群では好中球減少症・貧血・血小板減少症・白血球減少症が一般的であった。薬剤関連の重篤有害事象は各群13%、15%に発現した。死亡に関連する治療下発現有害事象は、5.4 mg/kg群の1名に発生した(肝不全)。薬剤関連の間質性肺疾患・肺炎は5.4 mg/kg群の8%(いずれもグレード2以下)、6.4mg/kg群の13%(1名がグレード5)で認められた。

評価

奏効および安全性プロフィルは5.4 mg/kgの用量を支持した。
この試験を含む3試験の結果に基づき、FDAはトラスツズマブ デルクステカンをHER2陽性の切除不能・転移固形腫瘍を対象として迅速承認した。残された治療選択肢の少ないHER2陽性進行大腸がんに、有望な選択肢を提供する。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)