胸部を圧迫しながら除細動をするとAFの洞調律回復率は高まるか?:PRESSURE-AF
Manual Chest PRESSURE During Direct Current Cardioversion for Atrial Fibrillation: A Randomized Control Trial (PRESSURE-AF)

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JACC: Clinical Electrophysiology
年月
July 2024
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開始ページ
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背景

心房細動(AF)に対する電気的除細動の成功は、心臓に供給されるエネルギー量に比例する。供給エネルギー量の増量はふつう出力を増量することにより行われるが、最近ではパッドを前胸部と背部に貼付する方法、さらに除細動時に胸部を押す(active compression)ことで、経胸壁インピーダンスを低下させる方法が提案されている。
オーストラリアJohn Hunter HospitalのFerreiraら(PRESSURE-AF)は、2021〜2023年に同国3施設で除細動の適応となった心房細動患者(n=311)を対象に、前後パッド法(前胸部と背部)による除細動時に用手的な胸部圧迫を加えることの有効性を検証するRCTを実施した。
介入群・対照群とも初回150 Jから4回目の360 Jまで段階的に出力が増量され、加えて介入群では初回から、対照群では4回目のみプラスチック手袋とタオルを利用して、用手的圧迫(模擬的な圧迫では平均25.5 kg)が行われた。

結論

総ジュール数は介入群で平均413.8 J、対照群で355.0 Jと差がなく、初回除細動成功率、除細動回数、平均経胸壁インピーダンス、総除細動成功率にも差はなかった。

評価

先行した小規模RCTでは肯定的な結果を残していた(https://doi.org/10.1016/j.hrthm.2020.11.005)が、この試験では、胸部圧迫を伴う電気的除細動はエネルギー必要量を減らさず、成功率も高めなかった。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)