急性心筋梗塞による心原性ショックに機械的循環補助は無益か
Temporary mechanical circulatory support in infarct-related cardiogenic shock: an individual patient data meta-analysis of randomised trials with 6-month follow-up
背景
急性心筋梗塞に関連した心原性ショックに対する機械的循環補助(MCS)デバイスの使用が増加しているが、死亡率を改善するかどうかは定かでない。
ドイツHeart Center Leipzig at Leipzig UniversityのThieleらは、急性心筋梗塞関連心原性ショック患者を対象に、早期ルーチン的MCSと対照治療を比較し、6ヵ月死亡率についてのデータを有するRCTを特定し、患者個別データに基づくメタアナリシスを実施した。
結論
9件のRCT(n=1,114)が対象とされ、うち4件(n=611)はloadingデバイス(VA-ECMO)と対照治療、5件(n=503)は左室unloadingデバイス(TandemHeartないしImpella)と対照治療を比較した試験であった。
非選択患者での早期MCS使用は6ヵ月死亡率へのベネフィットを有さなかった(HR 0.87, 非有意)。Loadingデバイス(0.93)、左室unloadingデバイス(0.80)に限っても同様であった。低酸素性脳損傷のリスクのないST上昇型心原性ショック患者では、MCS使用による死亡リスクの低下が認められた(0.77)。
MCSの使用により、大出血(オッズ比 2.64)、血管合併症(4.43)が増加した。
評価
全体として、MCSデバイス使用によるベネフィットは認められず、合併症は増加した。
現段階でMCSの使用は選択的に行うべきであり、低酸素性脳損傷のリスクのないSTEMI心原性ショック患者は、その候補といえる。


