脳梗塞急性期での抗凝固薬・抗血小板薬の併用は有害か:MOST試験
Adjunctive Intravenous Argatroban or Eptifibatide for Ischemic Stroke
背景
直接トロンビン阻害薬アルガトロバンと、糖タンパクIIb/IIIa阻害薬eptifibatideは、ともに脳梗塞急性期での血栓溶解療法への追加が検証されている。
アメリカWashington UniversityのAdeoyeら(MOST)は、同国内57施設で、発症3時間以内に静脈内血栓溶解療法を開始された急性虚血性脳卒中患者を、アルガトロバン、eptifibatide、プラセボの静注へと割り付け(最初の150名では1:1:1、その後は反応適応的ランダム化)、有効性と安全性を評価する第3相RCTを実施した。
結論
500名登録時点での中間解析において、無益性基準が満たされたため、試験は中途終了した(n=514)。
90日時点でのutility-weighted修正ランキンスケール(UW-mRS)は、アルガトロバン群で平均5.2、eptifibatide群で6.3、プラセボ群で6.8であった。アルガトロバンがプラセボを上回る事後確率は0.002であり、eptifibatideがプラセボを上回る事後確率は0.041であった。
症候性頭蓋内出血は3群同等であり(4% vs. 3% vs. 2%)、90日死亡率はアルガトロバン群24%、eptifibatide群12%、プラセボ群8%と、アルガトロバン群ではプラセボ群より高くなった。
評価
有望な第2相結果から考えると意外ではあるが、アルガトロバンによる抗凝固療法、eptifibatideによる抗血小板療法とも有効である確率は1%以下で、むしろアウトカム悪化の傾向がみられた。