ヘム鉄摂取は2型糖尿病リスク
Integration of epidemiological and blood biomarker analysis links haem iron intake to increased type 2 diabetes risk

カテゴリー
生活習慣病
ジャーナル名
Nature Metabolism
年月
August 2024
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背景

赤身肉や動物性食品に含まれるヘム鉄を多く摂取すると、2型糖尿病(T2D)発症リスクが増加するという報告があるが、本当か。
アメリカHarvard T.H. Chan School of Public HealthのHuらは、Nurses' Health Study I・IIおよびHealth Professionals Follow-up Study参加者204,615名(女性79%)の36年間の食事記録を使用し、疫学と血液バイオマーカー分析の統合により、鉄摂取(総鉄・ヘム鉄・非ヘム鉄・食品由来・サプリメント由来)とT2Dリスクの関連を評価した。
37,544名と9,024名のサブセットで、各々血漿代謝バイオマーカーとメタボロームプロファイルも分析した。

結論

ヘム鉄の摂取はT2Dリスクの上昇と関連した(最高五分位と最低五分位の比較HR 1.26)。ヘム鉄は、未加工の赤身肉や特定の食生活パターンに関連するT2Dリスクのかなりの部分を占めた。
ヘム鉄摂取量の増加は、インスリン血症、脂質・炎症・T2D関連代謝物の好ましくない血漿プロファイルと関連した。また、L-バリンや尿酸等の代謝物とも関連した。
食品由来やサプリメント由来の非ヘム鉄の摂取とT2Dリスクは関連しなかった。

評価

示唆されていた関連を、Harvard Chanが大規模データとバイオマーカ分析との統合により確定した結果である。効果規模は大きくなく、また、一般的な食生活の質との関連ともみられる結果である。著者らは、調査対象者が白人女性に偏っていることを認め、より広汎な追試を求めている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(生活習慣病)

Journal of the American Medical Association (JAMA)、The New England Journal of Medicine (NEJM)、Lancet、Diabetologia、Diabetes Care (Diabetes Care)