病院前でのZone1 部分遮断REBOAは実施可能だが死亡率は高い
Prehospital Partial Resuscitative Endovascular Balloon Occlusion of the Aorta for Exsanguinating Subdiaphragmatic Hemorrhage
背景
大量出血に対するREBOA(Resuscitative Endovascular Balloon Occlusion of the Aorta)は、待望のRCTエビデンスであるUK-REBOA試験が有害性を示唆し(https://doi.org/10.1001/jama.2023.20850)、再検討が求められている。
イギリスBart's Health National Health Service TrustのLendrumらは、都市部の病院前外傷サービスにおいて、横隔膜下の大量出血が疑われる、循環血液量減少性の心停止の可能性がある16歳以上の外傷患者を対象として、partial(部分遮断) REBOAまたはZone1 REBOAが実施可能かを検討する前向観察コホート研究を実施した。
結論
16名の患者(中央値30歳、81%が男性)に対して、Z1 REBOAのための大腿動脈アクセスが試みられた。2名では臨床状態が改善したためREBOAは実施されず、11名では大動脈でのバルーン閉塞が行われ、3名(いずれも外傷性心停止)では挿入に失敗した。
Z1 REBOA+partial REBOAは血圧の改善と関連しており、病院到着時の収縮機血圧は101 mmHgで、到着時に心停止の患者はいなかった。partial REBOAは8名で実施され、うち4名は自然に生じたものであった。
REBOAが達成された患者における受傷後1時間・3時間の死亡率は9%、24時間死亡率は27%、30日死亡率82%であり、生存退院したのは早期にZ1 partial REBOAが実施された2名のみであった。
評価
致死的な外傷性出血を呈する患者で、病院到着前からZone1での部分遮断REBOAを実施しうること、血圧の上昇がもたらされ、短期的な死亡率が低くなることを示した。
ただし、多くの患者で多臓器不全が発生、生存退院は2名のみであり、この戦略がベネフィットを持つかは明らかでない。