重症患者での厳格な血糖コントロールに死亡率低下効果はない
A Patient-Level Meta-Analysis of Intensive Glucose Control in Critically Ill Adults
背景
重症患者における強化血糖コントロールはLeuven I試験において有効とされたが、その後、NICE-SUGAR試験を始め多くの試験がこれを否定した。
オーストラリアGeorge Institute for Global HealthのAdigbliらは、成人重症患者における血糖コントロールレベルを検証したRCTから、患者個別データをプールし、院内死亡率・その他のアウトカムへの強化血糖コントロールの影響を推定するメタアナリシスを実施した。
結論
38試験(n=29,537)の適格試験のうち、20試験(n=14,171)から院内死亡ステータスを含む患者個別データが提供された。
強化血糖コントロール群の27.3%、従来血糖コントロール群の26.8%が死亡した(リスク比 1.02)。院内死亡への治療効果の異質性は、いずれのサブグループでも認められなかった。
また、強化血糖コントロールは重症低血糖のリスクを増加させた(リスク比 3.38)。
評価
患者レベルのメタ解析で、強化血糖コントロールの有益性を改めて否定した。強化血糖コントロール群では低血糖リスクも増加しており、現在のガイドラインが推奨する180 mg/dL以下を目標とした管理を行うべきである。