ボタン型電池誤飲の応急処置にはハチミツかジャム
Home Therapies to Neutralize Button Battery Injury in a Porcine Esophageal Model
背景
異物の誤飲は乳幼児の救急受診の2割を占めるが、その中でもボタン型・コイン型電池の誤飲は深刻なアルカリ性組織傷害を引き起こす場合がある。ボタン型電池を誤飲した際の応急処置として、ハチミツの摂取を推奨するガイドラインもあるが、ボツリヌス症を避けるため、1歳未満の乳児には推奨されない。
オーストラリアPrince of Wales HospitalのChiewらは、豚の死体の食道粘膜上にコイン型リチウム電池(CR2032)を置き、生理食塩水・ハチミツ・ジャム・オレンジジュース・ヨーグルト・牛乳・コーラを10分おきに6回塗布し、組織のpH値を測定、120分後の潰瘍サイズを巨視的に測定した(実験1)。
さらに内腔にバッテリーを導入した食道に、ジャム・ハチミツ・生理食塩水を灌流し、60分、90分、120分後のpH値、巨視的・病理組織学的変化を評価した(実験2)。
結論
実験1における120分後の組織pH(平均)は、ハチミツで8.0、ジャムで7.1と、生理食塩水の11.9より有意に低かった。ハチミツとジャムでは、潰瘍の面積についても生理食塩水よりも小さかった(0.24 cm2, 0.37 cm2, 3.90 cm2)。
実験2では、ハチミツとジャムは、全ての時点(60〜120分)で組織pHが生理食塩水より有意に低かった。また生理食塩水では、60分の時点で組織学的変化が認められたのに対し、ハチミツとジャムでは120分まで変化なし、または軽微な変化のみであった。
評価
ふつう推奨されるハチミツに加えて、ジャムの摂取も、ボタン電池によるアルカリ性傷害を緩和した。
緊急介入に先立って、ハチミツ(ハチミツの摂取ができない0歳児には ジャム)を10分おきに摂取させることが、合理的な選択肢と考えられる。