急性心不全後のGDMT急速増量で、うっ血除去を達成:STRONG-HF二次分析
Effects of Rapid Uptitration of Neurohormonal Blockade on Effective, Sustainable Decongestion and Outcomes in STRONG-HF
背景
急性心不全(AHF)入院患者を対象としたSTRONG-HFは、高強度ガイドライン準拠ケア(GDMT)(β遮断薬・ACEI/ARB・ARNI・MRA)の有効性を示したが(https://www.medicalonline.jp/review/detail?id=7796)、うっ血除去のアプローチとしての有効性は。
ポーランドWroclaw Medical UniversityのBiegusらは急性心不全(AHF)患者に対するGDMTの急速増量(up-titration)が、うっ血徴候・症状に与える影響を評価するSTRONG-HF二次分析を行った。退院後の追加外来診察(最初の90日間に5回)中に995名の患者をGDMTの急速増量する高強度治療(HIC)群と通常治療(UC)群に無作為に割り付けた。
うっ血除去の成功(一次エンドポイント)は、末梢浮腫・肺ラ音・頸静脈圧6cm未満がないことと定義した。
結論
ベースライン(ランダム化前の診察[退院前])でのうっ血除去の成功率は両群で同程度であったが、90日目にうっ血除去成功を達成した患者の割合は、HIC群が有意に高かった(75% vs. 68%)。うっ血除去エンドポイントの各要素でも、HICが有意に優った。体重・NT-proBNP値・起座呼吸重症度マーカーも、ループ利尿薬の用量が低いにもかかわらず、HICが優った。全参加者におけるうっ血除去の成功は、180日以内のHF再発または全死亡のリスク低下と関連していた(HR 0.40)。
評価
STRONG-HFの結論を、別指標で確認した結果である。ただし、同試験は、SGLT2iの有用性エビデンスの確立に先行していたため、GDMTからSGLT2iが除外されている。うっ血除去におけるSGLT2iの役割は、AHFの第一選択療法としても、ますます良く認識されてきているため、SGLT2iの追加により、結果はより明白になる可能性がある。