急性脳内出血でのトラネキサム酸は無益か:STOP-MSU
Tranexamic acid versus placebo in individuals with intracerebral haemorrhage treated within 2 h of symptom onset (STOP-MSU): an international, double-blind, randomised, phase 2 trial
背景
CRASH-2試験によって外傷性出血での有効性が確立されたトラネキサム酸であるが、脳内出血における有効性は支持されているとは言い難い。
オーストラリアWalter and Eliza Hall Institute of Medical ResearchのYassiら(STOP-MSU)は、5ヵ国24施設・1モバイル脳卒中ユニットにおいて、単純CTで急性特発性脳内出血が認められた発症2時間以内の成人患者を、トラネキサム酸(10分間で1 g、その後8時間で1 g)または生理食塩水へと割り付け、24時間後の血腫増大について比較する医師主導型の第2相RCTを実施した(n=201)。
結論
血腫増大(相対33%または絶対6 mL)は、プラセボ群の38%、トラネキサム酸群の43%で発生した(調整オッズ比 1.31)。
重大な血栓塞栓イベントは、プラセボ群の1%、トラネキサム酸群の3%で発生した。プラセボ群の8%、トラネキサム酸群の8%が7日目までに死亡、プラセボ群の15%、トラネキサム酸群の18%が90日目までに死亡した。
評価
TICH-2試験では一次アウトカム差を認めず(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)31033-X)、本試験でも血腫の抑制効果はみられなかった。
このテーマに決定的エビデンスをもたらすべく、現在、TICH-3試験が進行中である(ISRCTN97695350)。