ICI・TKI治療後の腎細胞がん患者にHIF-2α阻害剤Belzutifanが登場:LITESPARK-005
Belzutifan versus Everolimus for Advanced Renal-Cell Carcinoma
背景
免疫チェックポイント阻害薬やチロシンキナーゼ阻害薬によって、淡明細胞型腎細胞がんの予後は改善したが、両治療後に進行した患者での治療選択肢は限られる。
アメリカDana-Farber Cancer InstituteのChoueiriら(LITESPARK-005)は、免疫チェックポイント阻害薬と抗血管新生薬による治療歴を有する進行した淡明細胞型腎細胞がん患者を、HIF(低酸素誘導因子)-2α阻害剤belzutifanまたはエベロリムスへと割り付け、無増悪生存期間・全生存期間を比較する第3相多施設RCTを実施した(n=746)。
結論
無増悪生存期間の中央値は両群とも5.6ヵ月であったが、18ヵ月無増悪生存率はbelzutifan群で24.0%、エベロリムス群で8.3%であった。客観的奏効率はbelzutifan群で21.9%、エベロリムス群で3.5%であった。
第二回中間解析(追跡期間の中央値25.7ヵ月)時点での全生存期間の中央値は、belzutifan群21.4ヵ月、エベロリムス群18.1ヵ月であり、18ヵ月生存率はそれぞれ55.2%、50.6%であった(HR 0.88)。
有害事象による治療の中止は、belzutifan群の5.9%、エベロリムス群の14.7%で発生した。
評価
淡明細胞型腎細胞がん患者の9割でVHL遺伝子の異常がみられ、HIF-2αの蓄積と転写因子としての活性を介して発癌に関与すると考えられている。
この試験では、belzutifanの投与により18ヵ月時点での無増悪生存率が有意に改善し、腎細胞がんの二次・三次治療に新たな選択肢がもたらされた。