コーヒー常用は血圧に影響しない
Habitual coffee consumption and office, home, and ambulatory blood pressure: results of a 10-year prospective study
背景
カフェインは一時的に血圧(BP)を上昇させるが、継続的飲用が心血管に与える影響に関するデータは多様である。
イタリアUniversita Milano-BicoccaのGrassiらは、同国モンツァ市の25~74歳の住民を対象に血圧と臓器障害・代謝変化の関連を調査したPressioni Arteriose Monitorate E Loro Associazioni(PAMELA)研究において、10年間の追跡調査を受けた1,408名の参加者の血圧を分析し、コーヒー摂取量と高血圧発症との関連を検証する前向コホート研究を行った。
参加者を自己申告による毎日のコーヒー摂取量(非摂取・中程度[1~2杯]・多量[3杯以上])で分類し、ベースラインと10年後に、職場・自宅・24時間血圧を測定した。
結論
3群はベースラインで多少異なっていた(コーヒーを頻繁に飲む人は若く、喫煙率が高く、降圧剤を服用している可能性が低かった)。これらの交絡因子の調整後、ベースラインと10年間の追跡調査で、コーヒー多量摂取群のオフィス収縮期血圧の平均値が、中程度群や非摂取群に比べて、わずかに低かったが、外来および自宅での測定値には群間差はなかった。24時間血圧変動と新規高血圧の発生率にも群間差はなかった。
評価
長年のテーマだが、最大・最長とみられる前向長期研究により、コーヒー常用が血圧に影響を与える可能性は低いという、収束中の結論を再確認した。2021年の大規模観察研究では、コーヒー摂取が不整脈発症リスクを過剰に高めないことも示唆されている(https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2782015)。