活動制限と補助器具使用には世界的格差がある:PURE研究
Activity limitations, use of assistive devices, and mortality and clinical events in 25 high-income, middle-income, and low-income countries: an analysis of the PURE study
背景
世界的な健康状態の疫学研究の大半は死亡率や臨床的事象に焦点が当てられており、基本的な日常機能に関連する活動制限や補助器具の使用に関する情報は少ない。
カナダMcMaster UniversityのJoundiらは、低・中・高所得国参加者175,660名の前向コホート研究Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)の25ヵ国データに基づき、活動制限(歩く・つかむ・かがむ・近くを見る・遠くを見る・話す・聞く)と補助器具(歩行補助具・視覚補助具・補聴器)の使用に関する分析を行い、活動制限と死亡率および臨床イベント(心血管疾患・心不全・肺炎・転倒・がん)との関連性を評価した。
結論
低・中所得国の人々は高所得国の人々に比べて日常生活に大きな困難を抱えており、補助器具の使用率が低かった。低所得国での眼鏡使用率は高所得国の半分であった。活動制限で最も多いのは、屈曲(13.6%)・視覚(13.4%)・歩行(13.0%)の困難であった。参加者の3分の1が少なくとも1つの制限を報告し、これらの問題は特に高齢者・女性に多くみられた。
活動制限は、高所得国と比較して低・中所得国でより一般的であり、歩行障害は2倍、視覚障害は5倍高かった。活動制限は深刻な健康問題と関連しており、歩行制限は、死亡リスクの上昇と最も強く関連し(aHR 1.32)、心血管疾患・肺炎・転倒などのその他の健康問題とも関連した。
評価
カナダ人口保健研究所(PHRI)が主導する進行中のユニークなグローバル疫学研究の一部で、このような問題に関する大規模前向研究は初めてである。低・中所得国では活動制限のある人の割合がはるかに高いにもかかわらず、杖や歩行器、眼鏡、補聴器といった簡単な器具の使用でも、高所得国の半分以下であった。著者らは、ここでの結果は、障害を持つ人々が健康を維持するために必要な簡単な補助器具や、その他の資源にアクセスできるようにする政策やプログラムの必要性を浮き彫りにしている、としている。