スタチン療法の新規糖尿病発症率は?:メタアナリシス
Effects of statin therapy on diagnoses of new-onset diabetes and worsening glycaemia in large-scale randomised blinded statin trials: an individual participant data meta-analysis
背景
スタチン療法と糖尿病(DM)発症の関連についてすでに多くの研究があり、メタアナリシスが必要である。
イギリスを中心とするCholesterol Treatment Trialists’(CTT)Collaborationは、スタチン療法の長期大規模RCT(追跡期間2年以上、参加者1,000名以上)の参加者データを分析するメタアナリシスを行った。メタアナリシスでは、新規発症DM(DM関連有害事象、新規血糖降下薬の使用、血糖値、HbA1c値)、およびDM患者の血糖値悪化(血糖コントロールによる合併症、血糖降下薬の使用増加、HbA1cの0.5%以上の上昇で定義)に対するスタチン療法の影響を評価した。
結論
23RCTを含んだ。低〜中強度スタチン療法では、プラセボと比較して新規DM発症が発生率比で10%高かった(年間1.3% vs. 1.2%, 発生率比[RR] 1.10)。高強度スタチン療法では、プラセボと比較して新規DM発症が発生率比で36%高かった(年間4.8% vs. 3.5%, RR 1.36)。
ベースラインでDMのない参加者では、低〜中強度スタチン療法と高強度スタチン療法の両群で平均血糖値が0.04 mmol/L上昇し、平均HbA1c値は低〜中強度スタチン療法で0.06%、高強度スタチン療法で0.08%上昇した。
ベースラインの血糖測定値がある参加者のうち、新規DM発症の約62%は、すでにベースライン分布の最高四分位群に入っていた参加者であった。新規DM発症に対するスタチン療法の相対的効果は、さまざまなタイプの参加者間でも、治療期間でも同様であった。ベースラインでDMであった参加者では、プラセボと比較して、低〜中強度スタチン療法では血糖悪化のRRが1.10、高強度スタチン療法では1.24であった。
評価
分析対象者15万人という、この主題に関する最大・最新の個別患者レベルメタアナリシスである。結論は:(1)スタチン療法は新規DM発症に関連し、その関連は中等度で用量依存的である,(2)血糖測定値がすでにDM閾値に近い参加者ほど、DM新規発症リスクが高い,(3)スタチンの高血糖作用による心血管疾患リスク増は、スタチン療法による心血管疾患リスク減によって緩和される、というもので、既知を確認している。