心停止患者での静脈路と骨髄路をRCT比較:VICTOR試験
Intraosseous versus intravenous vascular access in upper extremity among adults with out-of-hospital cardiac arrest: cluster randomised clinical trial (VICTOR trial)
背景
骨髄内輸液路(骨髄路)の確保は、迅速な静脈路確保が困難な場合に推奨される方法であるが、一部の後向研究は、末梢静脈路と比してアウトカムが悪化することを示唆している。
台湾National Taiwan University Cancer CenterのKoら(VICTOR)は、台北市の4つの二次救命処置救急車チームすべてを含むクラスターRCTを実施し、非外傷性の成人院外心停止患者における輸液路として、4つのチームに2週ごとに静脈路または骨髄路を割り付け、生存退院率を比較した。
結論
一次解析に含まれたのは、骨髄路グループ741名、静脈路991名の計1732名であった。
生存退院率は骨髄路群で10.7%、静脈路群で10.3%であった(オッズ比 1.04)。骨髄路群での病院到着前の自己心拍再開のオッズ比は1.23、持続的な自己心拍再開のオッズ比は0.92、神経学的良好アウトカムのオッズ比は1.17であった(いずれも非有意)。
評価
既存のエビデンスは観察研究に限られており、多くの場合、静脈路確保が困難なケースでの代替手段として選択される骨髄路に不利な可能性があった。
本試験はこの問題に初のRCTエビデンスをもたらし、骨髄路が静脈路と並ぶオプションと見做し得ることを明らかにした。