心臓突然死は医療記録から予測できるか
Predicting Out-of-Hospital Cardiac Arrest in the General Population Using Electronic Health Records

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Circulation
年月
July 2024
150
開始ページ
102

背景

院外心停止(OHCA)の多くは絶対リスクの低い一般集団で発生するため、予測することは困難である。
アメリカUniversity of WashingtonのPerryらは、2010〜2021年に同大学で医療ケアを受けた記録のあるOHCA症例2,366名と、年齢・性別でマッチングした対照23,660名の電子健康記録(EHR)データを用い、OHCAに寄与する因子を特定し、OHCAを予測する機械学習モデルをトレーニング・検証した。

結論

OHCA患者と対照には、人口統計学的特徴・バイタルサイン・心電図測定値・併存疾患・薬剤使用で有意な差がみられた。
外部検証(n=7808)において、機械学習モデルの受信者動作特性曲線下面積(AUC)は0.80-0.85であり、心血管リスク因子を用いたベースラインモデルの0.66に優った。特異度閾値99%とした場合の陽性適中率は、ベースラインモデルの0.8%に対して、2.5%-3.1%であった。
補正QT時間延長・物質使用障害(substance abuse disorder)・体液‐電解質異常・アルコール乱用・頻脈は、いずれの機械学習モデルでもOHCAの顕著な予測因子であった。ショック適応OHCAでは、少数民族・独身・物質使用障害がリスク予測に寄与し、ショック非適応OHCAでは、併存疾患・物質使用障害/喫煙・バイタル・人口統計学的特徴など様々な予測因子が特定された。

評価

EHRデータを基にした機外学習モデルは、従来の臨床因子モデルを上回る予測能を示した。
一般集団からリスクの高い個人をスクリーニングするツールとして、公衆衛生戦略の最適化に資するであろう。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)