心臓突然死は医療記録から予測できるか
Predicting Out-of-Hospital Cardiac Arrest in the General Population Using Electronic Health Records
背景
院外心停止(OHCA)の多くは絶対リスクの低い一般集団で発生するため、予測することは困難である。
アメリカUniversity of WashingtonのPerryらは、2010〜2021年に同大学で医療ケアを受けた記録のあるOHCA症例2,366名と、年齢・性別でマッチングした対照23,660名の電子健康記録(EHR)データを用い、OHCAに寄与する因子を特定し、OHCAを予測する機械学習モデルをトレーニング・検証した。
結論
OHCA患者と対照には、人口統計学的特徴・バイタルサイン・心電図測定値・併存疾患・薬剤使用で有意な差がみられた。
外部検証(n=7808)において、機械学習モデルの受信者動作特性曲線下面積(AUC)は0.80-0.85であり、心血管リスク因子を用いたベースラインモデルの0.66に優った。特異度閾値99%とした場合の陽性適中率は、ベースラインモデルの0.8%に対して、2.5%-3.1%であった。
補正QT時間延長・物質使用障害(substance abuse disorder)・体液‐電解質異常・アルコール乱用・頻脈は、いずれの機械学習モデルでもOHCAの顕著な予測因子であった。ショック適応OHCAでは、少数民族・独身・物質使用障害がリスク予測に寄与し、ショック非適応OHCAでは、併存疾患・物質使用障害/喫煙・バイタル・人口統計学的特徴など様々な予測因子が特定された。
評価
EHRデータを基にした機外学習モデルは、従来の臨床因子モデルを上回る予測能を示した。
一般集団からリスクの高い個人をスクリーニングするツールとして、公衆衛生戦略の最適化に資するであろう。