体温が上がると心筋血流量が倍増する:猛暑の心臓への影響
The Effect of Heat Exposure on Myocardial Blood Flow and Cardiovascular Function
背景
高温への曝露は心血管リスクを高めることが示唆されているが、その生理学的メカニズムは十分明らかにされていない。
カナダUniversite de MontrealのBarryらは、健康な若年者20名(平均28歳)、健康な高齢者21名(平均67歳)、冠動脈疾患を有する高齢者20名(平均70歳)に対し、深部体温が1.5 ℃上昇するまで加温を行い(最大100分間)、0.5 ℃上昇するごとにPETによって心筋血流量を測定、熱曝露が心筋血流必要量に与える影響を検討した。
結論
深部体温が1.5℃上昇すると、心筋血流量は、健康若年者で0.8 mL/分/g、健康高齢者で0.7 mL/分/g、CAD高齢者で0.6 mL/分/g増加した。これらはそれぞれ、曝露前の値の2.08倍、1.79倍、1.64倍に相当した。
事後解析では、高温による無症候性心筋虚血の画像上所見が、CAD高齢者の35%に認められた。
評価
いずれの参加者グループにおいても、高温への曝露がもたらす体温上昇は心筋血流量を倍増させ、CADを有する参加者の一部では無症候性の心筋虚血も引き起こされた。
地球温暖化の健康へのインパクトを図る上で重要な視点である。