早期からの緩和ケアをより効率的に:STEP PC試験
Stepped Palliative Care for Patients With Advanced Lung Cancer: A Randomized Clinical Trial
背景
進行がん患者に対して早期からの緩和ケアを導入することで、アウトカムが改善することが示唆されているが、緩和ケア人材の不足もあり広く実装されてはいない。
アメリカMassachusetts General HospitalのTemelら(STEP PC)は、2018〜2022年に、3つの教育医療施設において診断から12週以内の進行肺がん患者(n=507)を、段階的な緩和ケアと早期緩和ケアのいずれかへ割り付け、段階的な緩和ケア導入の非劣性を検証するRCTを実施した。
段階的緩和ケア群の患者は、登録から4週以内に初回の緩和ケア医と面談し、その後はがん治療の変更または入院時のみ面談を行った(ステップ1)。また、6週ごとにFunctional Assessment of Cancer Therapy-Lung(FACT-L)によるQOL評価を受け、ベースラインからの低下がみられた患者では4週ごとの面談へとステップアップした(ステップ2)。早期緩和ケア群の患者は、初めから4週ごとの面談を受けた。
結論
24週目までの緩和ケア受診回数(平均)は、段階的緩和ケア群で2.4回、早期緩和ケア群で4.7回であった。24週時点でのFACT-Lスコアは、段階的緩和ケア群で100.6(調整後平均)、早期緩和ケア群で97.8であり、段階的緩和ケアの非劣性が示された。
終末期ケアについての話し合い率も非劣性であったが、ホスピス滞在日数は段階的緩和ケア群で19.5日(調整後平均)、早期緩和ケア群で34.6日と非劣性が示されなかった。
評価
疾患経過の重要時点でのみ緩和ケア受診を受ける段階的ケアは、一定間隔で受診を受ける通常のケアにQOLで劣らなかった。
緩和ケアリソースの使用を最適化するスケーラブルなモデルとして注目される。