バイオマーカーと病院前脳卒中スケールを組み合わせLVO脳梗塞を特定する:TIME試験
Prospective Validation of Glial Fibrillary Acidic Protein, d‐Dimer, and Clinical Scales for Acute Large‐Vessel Occlusion Ischemic Stroke Detection
背景
主幹動脈閉塞(LVO)による虚血性脳卒中では、速やかな血管内血栓回収療法(EVT)の実施が治療の成否を分けることになり、病院到着前での精度の高いトリアージ法が求められてきた。
アメリカBrandon Regional HospitalのDurraniらは、2021年5月から2022年8月に救急車で脳卒中コードがアクティベートされ、同施設で治療を受けた発症18時間以内の全症例(n=382)を対象に、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)およびD-ダイマーの濃度と病院前脳卒中スケールを併用した場合のLVO検出率を検証した。
結論
最終的なコホートは脳卒中疑い患者323名からなり、内訳はLVO虚血性脳卒中患者が9%、非LVOの虚血性脳卒中患者が15%、出血性脳卒中患者が4%、一過性脳虚血発作が3.9%、stroke mimicsが68.1%であった。
LVO検出のパフォーマンスに最も優れていたのは、GFAP・D-ダイマーとField Assessment Stroke Triage for Emergency Destination(FAST-ED)の組み合わせで、特異度94%、感度71%であった。発症6時間未満の患者では特異度93%、感度81%とより高いパフォーマンスを示した。
さらにこのアルゴリズムにより、全ての出血性脳卒中が除外された。
評価
2つのバイオマーカーと病院前脳卒中スコアを組み合わせることで、LVO脳卒中患者を高精度で識別可能であった。特に、臨床スコアでは除外できない出血性脳卒中を除外し得たことは意義が大きい。


