リウマチ性心疾患はグローバルには未だ重大
Mortality and Morbidity in Adults With Rheumatic Heart Disease
背景
リウマチ性心疾患(RHD)は、低中所得国(LMIC)では未だ重要な公衆衛生問題で、複数の流行国からの患者を対象とする大規模調査が必要とされている。
インドAll India Institute of Medical SciencesのKarthikeyanらは、LMIC 24ヵ国138施設におけるRHD患者13,696名の主要な臨床転帰のリスクと予測因子を評価する病院ベースの前向観察研究を行った。
一次アウトカムは、全死因死亡、二次アウトカムは、死因別死亡・心不全(HF)入院・脳卒中・再発性リウマチ熱・感染性心内膜炎である。
結論
調査対象患者の平均年齢は43.2歳、72%が女性であった。RHD関連の死亡率は高く、弁疾患の重症度と相関関係があり、平均3.2年間で患者の15%が死亡した(4.7%/人年)。血管死が67.5%を占め、主にHFまたは心臓突然死であった。脳卒中(年間 0.6%)・感染性心内膜炎(0.07%)・再発性リウマチ熱(0.02%)は稀であった。
うっ血性心不全(HR 1.58)・肺高血圧症(1.52)・心房細動(1.30)が重症弁膜症のマーカーであった。弁手術(HR 0.23)・弁形成術(0.24)の死亡率が低かった。患者レベル要因を調整すると、国の所得レベルが高いほど死亡率が低かった。
評価
RHDに罹患し死亡する患者は、世界で年間約30万人とされ、大半を低・中所得国民が占めており、小児・若年者における心疾患の主要因となっている。一方、先進国では、A群β溶血性レンサ球菌(GAS)による咽頭炎の診断・治療の向上により、患者数は激減している。著者らは、中・低所得国では、抗菌薬による予防戦略と抗凝固療法に重点を置いた現在のアプローチに加え、外科的治療・介入治療へのアクセスを改善する必要性が高い、としている。