臓器不全の重症患者でダパグリフロジンは無益か:DEFENDER試験
Dapagliflozin for Critically Ill Patients With Acute Organ Dysfunction: The DEFENDER Randomized Clinical Trial
背景
SGLT2阻害薬ダパグリフロジンは、臓器不全急性期の実験モデルにおいて、炎症を緩和し、臓器の損傷を予防することが示唆されている。
ブラジルHospital Israelita Albert EinsteinのTavaresら(DEFENDER)は、同国22ICUに非手術入室した臓器不全を呈する重症患者を、標準治療にダパグリフロジンを併用するグループまたは標準治療のみのグループへと割り付け、複合アウトカム(28日目までの院内死亡、腎代替療法の開始、ICU滞在期間)について比較するRCTを実施した(n=507)。
結論
39.6%は感染症疑いによるICU入室であった。
複合一次アウトカムに対するダパグリフロジンの勝率は1.01であり、改善は示されなかった。二次アウトカムのうち、ダパグリフロジンの勝率が最も高かったのは腎代替療法の開始率であった(10.9% vs. 15.1%, 勝率0.90)。
評価
ダパグリフロジンの検証については、先に、高リスクCOVID-19患者を対象としたDARE-19試験が失敗に終わっている(https://doi.org/10.1016/S2213-8587(21)00180-7)。
本試験では、ダパグリフロジン群でRRTが減少傾向(非有意)にあり、腎保護効果が示唆されたものの、全体として群間差は認められなかった。有効患者の絞り込みが必要である。