局所進行食道がんの術前治療では三剤化学療法が標準に:NExT試験
Doublet chemotherapy, triplet chemotherapy, or doublet chemotherapy combined with radiotherapy as neoadjuvant treatment for locally advanced oesophageal cancer (JCOG1109 NExT): a randomised, controlled, open-label, phase 3 trial

カテゴリー
がん、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
July 2024
404
開始ページ
55

背景

II期・III期食道がんにおいては、JCOG9907の結果により術前シスプラチン+フルオロウラシル(5-FU)療法が推奨されているが、予後は依然として不良である。
日本National Cancer Center HospitalのKatoら(NEXT: JCOG1109)は、国内44施設で、治療歴のない20〜75歳の局所進行食道扁平上皮がん患者に対する術前治療として、シスプラチン+5-FUの二剤併用化学療法(NeoCF)、シスプラチン+5-FUにドセタキセルを加えた三剤併用化学療法(NeoCF+D)、シスプラチン+5-FUに41.4 Gyの放射線治療を加えた化学放射線療法(NeoCF+RT)を1:1:1で割り付け、全生存率を比較するRCTを実施した(n=601)。

結論

3年生存率は、NeoCF群62.6%、NeoCF+D群72.1%(HR 0.68)、NeoCF+RT群68.3%(0.84)と、NeoCF+D群ではNeoCF群と比して有意に改善した。NeoCF+RT群での改善は有意ではなかった。
グレード3以上の発熱性好中球減少症は、NeoCF群の1%、NeoCF+D群の16%、NeoCF+RT群の5%で発生した。割り付け治療の中止に至る治療関連有害事象は各群4%、9%、6%と、NeoCF+D群で増加した。割り付け治療中の治療関連死亡は2%、2%、1%で発生した。

評価

ドセタキセルを追加した三剤療法は、3年生存率で従前のシスプラチン+5-FUを上回り、新たな標準治療となると思われる。
術前・術後でニボルマブを上乗せするなど、さらに高い効果を求めた研究も数多く進行中である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)