小児肥大型心筋症:最大の全欧研究
Clinical presentation and survival of childhood hypertrophic cardiomyopathy: a retrospective study in United Kingdom
背景
小児の肥大型心筋症(HCM)の理解には、長期・大規模な観察研究が必要である。イギリスUniversity College LondonのKaskiらは、1980〜2017年における小児HCM患者687名(0〜16歳、平均年齢5.2歳)を対象とした全欧多施設後向コホート研究結果を報告している。
結論
小児HCMの病因は非症候性(63%)・RAS病(18.3%)・Friedreich運動失調症(8.6%)・先天性代謝異常(9%)であり、乳児(23%)ではRAS病(42%)・先天性代謝異常(18.9%)によるものが多かった。家族性HCM患者では発症年齢が高かった(11年 vs. 6年)。5歳時における生存率は90.6%であり、死因は突然心臓死が多く(2.9%)、乳児期発症・先天性代謝異常例では予後不良であった(5年生存率:80.5%・66.4%)。不整脈は1.2人/100人年で生じ、非症候性例で多かった(88%)。
評価
ヨーロッパ初の小児HCMのコホート解析であり、規模として北米研究に次ぐものである。病因・臨床アウトカムともに不均質性が高いことは北米研究でも示されている。医療の進歩にかかわらず患者の生存曲線には大きな変化がみられていない。