慢性硬膜下血腫の穿頭ドレナージ術、血腫腔の洗浄は必要:FINISH試験
Burr-hole drainage with or without irrigation for chronic subdural haematoma (FINISH): a Finnish, nationwide, parallel-group, multicentre, randomised, controlled, non-inferiority trial
背景
慢性硬膜下血腫に対する穿頭ドレナージ術では、ドレーンチューブの留置に先立ち、血腫腔を洗浄する(irrigation)べきかどうかが、未解決問題として残されていた。
フィンランドHelsinki University HospitalのRajら(FINISH)は、同国5ヵ所の脳神経外科病棟で、穿頭ドレナージ術を要する成人の慢性硬膜下血腫患者を、血腫腔洗浄を行うグループと行わないグループへと割り付け、6ヵ月再手術率を比較する多施設非劣性RCTを実施した。
結論
1,644名がスクリーニングされ、うち589名がランダム化を受けた。
再手術率は、非洗浄群で18.3%、洗浄群で12.6%であった。mRS4-6の患者の割合(13.1% vs. 12.6%)や、死亡率(6.1% vs. 7.1%)に群間差はなかった。
有害事象の数に群間差はなく、重篤有害事象としては全身感染症(8.8% vs. 7.5%)・頭蓋内出血(4.4% vs. 2.4%)・てんかん発作(1.7% vs. 3.1%)が多くみられた。
評価
これまで小規模RCTが1件あるのみであったこの問題に、高品質なエビデンスがもたらされた。
洗浄を行わなかった患者では、再手術率が6%ポイント高く、有害事象などにも差がないことから、これまで通り血腫腔洗浄を行うことが望ましい。