チルゼパチドで閉塞型睡眠時無呼吸症と肥満を同時に治療:SURMOUNT-OSA
Tirzepatide for the Treatment of Obstructive Sleep Apnea and Obesity
背景
抗肥満薬は、肥満を伴う閉塞型睡眠時無呼吸症(OSA)に有効か。
アメリカUniversity of CaliforniaのMalhotraら(SURMOUNT-OSA)は、中等~重度のOSAの肥満成人患者469名を対象として、チルゼパチドの有効性・安全性を検証する2つの第3相RCTを行った(対照:プラセボ, 52週)。試験1では、ベースラインで気道陽圧(PAP)療法を受けていない参加者(平均BMI 39.1)を、試験2ではベースラインでPAP療法を受けている参加者(平均BMI 38.7)を対象とした。一次エンドポイントは、無呼吸低呼吸指数(AHI)のベースラインからの変化である。
結論
ベースラインでの平均AHIは試験1で51.5件/時間、試験2で49.5件/時であった。両試験共チルゼパチドの一次エンドポイント効果を認めた。試験1での算定治療差は-20.0件/時間、試験2では-23.8件/時間であった。
二次エンドポイント(AHI・体重の変化率、低酸素負荷の変化、患者報告による睡眠障害および睡眠妨害、hsCRP値、収縮期血圧)でもチルゼパチドがプラセボに優った。実薬での最も頻繁な有害事象は、軽度~中等度の消化器障害であった。
評価
OSAへの現在の標準はCPAPだが、効果は限定的で、アドヒアランスの問題が大きい。肥満の薬物的改善によるOSA治療は新しい先進概念であり、OSA治療において重要なマイルストーンとなる可能性がある。