混合型高脂血症へのANGPTL3標的化RNAi薬zodasiran、第2相をクリア:ARCHES-2
Zodasiran, an RNAi Therapeutic Targeting ANGPTL3, for Mixed Hyperlipidemia
背景
トリグリセドリッチアポリポタンパク(TRL)の調節因子、APOC3とANGPTL3(アンジオポエチン様タンパク3)遺伝子がアテローム動脈硬化性心血管疾患に関与することが明かになりつつあり、ANGPTL3遺伝子の機能喪失型変異キャリアは、非キャリアよりTG・LDL-C・HDL-C・non-HDL-Cレベルが低く、アテローム動脈硬化性心血管疾患のリスクが低いことが報告されている。
アメリカIcahn School of Medicine at Mount SinaiのRosensonら(ARCHES-2)は、混合型高脂血症(空腹時TG値 150〜499 mg/dLかつLDL-C値 70 mg/dL以上またはnon-HDL-C値 100 mg/dL以上)の成人患者204名(平均年齢61歳)を対象として、肝におけるANGPTL3の発現を阻害するRNAi薬zodasiraの安全性・有効性を検証する第2b相RCT(対照:プラセボ)を実施した。一次エンドポイントは、ベースライン後24週のTG値の変化率である。
結論
Zodasiranの用量依存的一次エンドポイント効果を認め(プラセボとの変化率差:200 mgで-63%ポイント)、これにはANGPTL3値の同程度の低下を伴っていた。non-HDL-C値・APOB値・LDL-C値等の二次エンドポイントでも類似の効果が認められた。実薬最高用量(200 mg)投与群の糖尿病既往患者で、HbA1c値の一時的上昇がみられた。
評価
Arrowhead Pharmaceuticalsの創薬で、同じく同社によるAPOC3標的化RNAi薬plozasiranに関するMUIR試験結果と同時にNEJMに掲載された(https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2404143)。
この分野では抗体薬(抗ANGPTL3薬エビナクマブ)が先行したが、RNAi薬がスタンダードとなる可能性がある。