混合型高脂血症へのANGPTL3標的化RNAi薬zodasiran、第2相をクリア:ARCHES-2
Zodasiran, an RNAi Therapeutic Targeting ANGPTL3, for Mixed Hyperlipidemia

カテゴリー
生活習慣病、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
May 2024
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背景

トリグリセドリッチアポリポタンパク(TRL)の調節因子、APOC3とANGPTL3(アンジオポエチン様タンパク3)遺伝子がアテローム動脈硬化性心血管疾患に関与することが明かになりつつあり、ANGPTL3遺伝子の機能喪失型変異キャリアは、非キャリアよりTG・LDL-C・HDL-C・non-HDL-Cレベルが低く、アテローム動脈硬化性心血管疾患のリスクが低いことが報告されている。
アメリカIcahn School of Medicine at Mount SinaiのRosensonら(ARCHES-2)は、混合型高脂血症(空腹時TG値 150〜499 mg/dLかつLDL-C値 70 mg/dL以上またはnon-HDL-C値 100 mg/dL以上)の成人患者204名(平均年齢61歳)を対象として、肝におけるANGPTL3の発現を阻害するRNAi薬zodasiraの安全性・有効性を検証する第2b相RCT(対照:プラセボ)を実施した。一次エンドポイントは、ベースライン後24週のTG値の変化率である。

結論

Zodasiranの用量依存的一次エンドポイント効果を認め(プラセボとの変化率差:200 mgで-63%ポイント)、これにはANGPTL3値の同程度の低下を伴っていた。non-HDL-C値・APOB値・LDL-C値等の二次エンドポイントでも類似の効果が認められた。実薬最高用量(200 mg)投与群の糖尿病既往患者で、HbA1c値の一時的上昇がみられた。

評価

Arrowhead Pharmaceuticalsの創薬で、同じく同社によるAPOC3標的化RNAi薬plozasiranに関するMUIR試験結果と同時にNEJMに掲載されたhttps://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2404143
この分野では抗体薬(抗ANGPTL3薬エビナクマブ)が先行したが、RNAi薬がスタンダードとなる可能性がある。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(生活習慣病)

Journal of the American Medical Association (JAMA)、The New England Journal of Medicine (NEJM)、Lancet、Diabetologia、Diabetes Care (Diabetes Care)