敗血症患者でのβラクタム系抗菌薬の持続投与、過去最大のBLING III試験でもベネフィット示せず
Continuous vs Intermittent β-Lactam Antibiotic Infusions in Critically Ill Patients With Sepsis: The BLING III Randomized Clinical Trial
背景
βラクタム系抗菌薬における重要なPK/PDパラメータは、最小発育阻止濃度を超える時間(time above MIC, T>MIC)であり、理論的には間欠的投与よりも持続的投与が有効と考えられているが、実践レベルのエビデンスはこれを支持しているとは言い難い。
オーストラリアRoyal Brisbane and Women's HospitalのDulhuntyら(BLING III)は、世界8ヵ国、104ICUでタゾバクタム/ピペラシリンまたはメロペネムの投与を受ける敗血症患者を対象に、持続的または間欠的投与を割り付け、90日死亡率を比較するRCTを実施した(n=7,202)。
結論
持続的投与群の24.9%、間欠的投与群の26.8%が90日以内に死亡した(絶対差−1.9%, オッズ比0.91, 有意差なし)。14日以内の臨床的治癒率は持続的投与群55.7%、間欠的投与群50.0%で、持続的投与が優った。
他の二次アウトカムに統計的有意差は認められなかった。
評価
過去最大の患者数を登録した決定打となるべき試験であったが、持続的投与の一次アウトカム優位は認められなかった。
ただし、同時に発表された、本試験を含むメタアナリシスは持続的投与による死亡率低下を認めており(https://doi.org/10.1001/jama.2024.9803)、今後は持続的投与が標準とみなされるだろう。