「進行がん罹患率」はがん検診のエンドポイントとして適切か?:系統レビュー・メタ解析
Cancer Stage Compared With Mortality as End Points in Randomized Clinical Trials of Cancer Screening: A Systematic Review and Meta-Analysis
背景
がん検診の有効性の指標となるのは死亡率の低下であるが、がん特異的死亡率をエンドポイントに設定することは臨床試験の長期化を招くため、各戦略の違いをより早期に検出できる代替エンドポイントが求められてきた。
フランスInternational Agency for Research on CancerのFengらは、ヨーロッパ・北米・アジアで実施されたがん検診のRCTにおいて、進行がん(III期またはIV期)罹患率と癌特異的死亡率の相関を検討するシステマティックレビュー・メタアナリシスを実施した。
結論
2024年2月までに公開された41件の試験が対象となった。内訳は乳がん6件、大腸がん11件、肺がん12件、卵巣がん4件、前立腺がん4件、その他のがん4件であった。
がん特異的死亡率と進行がん罹患率との相関は、がんの種類によって異なり(I2=65%)、卵巣がん(ピアソン相関係数ρ=0.99)、肺がん(0.92)では高く、乳がん(0.70)では中程度、大腸がん(0.39)、前立腺がん(-0.69)では低かった。
線形回帰の傾きは、卵巣がんで1.15、肺がん0.40、乳がん0.28、前立腺がん-3.58と、進行がん罹患率の変化が特異的死亡率にもたらす変化の大きさも、がんの種類によって異なっていた。
評価
検診の狙いが、がんを進行前に発見することにある以上、進行がん罹患率の減少はがん特異的死亡率の代替エンドポイントとして有望に思えるが、実際には、両者が強く相関していたのは卵巣がんと肺がんのみであった。
進行がん罹患率は、バイオマーカーを用いたがん検診でのエンドポイントとしても提案されているが、慎重な検討が必要である。